袖凧の作り方

袖凧は、千葉県上総地方の伝統凧で上総とんびともよばれています。大漁の時に着る万祝着を
かたどった形です。身長を超える大きな凧もありますが、ここでは凧作り教室でも利用できる
ように小型化・簡略化しています。


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  ■使用材料(凧1枚当たり):
     割竹(縦骨用)  幅5 ミリ x 厚さ2ミリ x 長さ 900ミリ 1本
      竹ひご(横骨用) 直径3ミリ x 長さ 900ミリ      2本
                  直径1.8ミリ x 長さ 900ミリ           1 本
       和紙(凧面用)  630 ミリ x 930 ミリ 1枚
         和紙の代わりに900ミリ幅の無地の障子紙を使用できます。
      凧糸 木綿4号の凧糸(糸目糸や反り糸に使用。揚げ糸にもこの太さが適当)
      木工ボンド(または糊)
       絵の具(染料、ポスターカラー、水性インク、油性インクなど)   
   ■工具類:
      ベニヤ板(作業台)
      薄葉のこぎり(またはペンチ)
      カッターナイフ
      定規
      毛糸針または竹串(紙に凧糸を通す穴をあける)
      刷毛(染料などの水性絵の具などを使用する場合)
   ■袖凧の形と寸法:
形と寸法
   ■製作の準備:
      型紙を作る
       凧作り教室の場合には、型紙を使いますが、1枚だけ凧を作る場合の型紙には
       厚紙で作るまでもありませんが、新聞紙を折って左右対称になるように形を決
       めておき、型紙にすると失敗は少なくなります。古新聞ででも型紙を作成する
       ことを推奨します。 
       型紙は、凧のサイズの外郭に糊代として10〜15ミリを加えて型紙のサイズとします。
     型紙
   ■袖凧製作の手順:
    @凧絵を描く
       和紙に凧面に使用する部分の外郭線を引いてその中に絵を描きます。
        和紙には表裏があり(表の方が滑らか)、絵は表に描きます。
        空に揚がったときでも、凧絵がよく見えるように大きく描くようにします。 
        染料を使用するときには、色が混じらないように異なる色の境をマジック
        インクで塗り、色のにじみこみを防ぎます。
      染料など水性の絵の具で絵を描いた和紙は乾いてからBの手順で使います。
    A竹骨の切断
    − 横骨(3ミリの竹ひご)は左右のバランスが重要です。左右が同じように
       曲がる竹ひごを選んで使用します。
    − 横骨は次の図のように節を中心にするか、2つの節の真ん中を中心にして、
        中央に印を付け、中央から左右とも320ミリの長さで竹ひごを切り取ります。
横骨の切り取り
    − 竹ひごの切断には薄葉のこぎりまたはペンチを使用します。
    − 下端横骨は、直径1.8ミリの竹ひごを320ミリの長さに切ります。
    − 縦骨は、割竹を710ミリの長さに切断します。横骨のような配慮は不要です。
      縦骨の一方の端には、15〜20ミリくらいの深さの切り込みを入れます。
      この切り込みは、下端横骨を挟むためのものです。
    B和紙を切断する
      絵を水性の絵の具で描いたときには、乾いてから型紙を当てて凧の寸法を
      描いてカッターで切り出します。
    C縦骨を凧面に貼る
        縦骨を正確に中心線に置けるように、凧面の裏側に縦骨の幅に印を付けます。
    (上下端と中央の3箇所くらいでよい)
       縦骨の肉側に木工ボンドを塗ります。 次にそれを中心線に合わせて置き、
     凧面を裏返して骨を密着させるように、骨の位置を押さえて貼りつけます。
    D2本の横骨を凧面に貼る
       横骨を弓状に反らせて、その反った外側の面に木工ボンド(または糊)を付けて
      凧面の裏側に当たるように(反りがスムースになるように)貼り付けます。
       左右両側は凧面の糊しろに木工ボンド(または糊)を付けて、横骨を包むように
        貼り付けます。
   E下端横骨を取り付ける
       下端横骨の左右の中心を縦骨の下端の切り込みに挟み、下端横骨を巻き込むように
       糊代に木工ボンドを付けて貼ります。
   F横骨を取り付ける
     横骨を中心を合わせて置き、横骨の曲がりやすい方向を確認しながら、木工ボンド
     を付けた糊代で巻き込むように貼ります。
   G折り返しを貼る
     上部や両端の折り返し部分(糊代)に木工ボンドを塗って貼ります。
   H補強
     余りの和紙でパッチ紙(20-30ミリ角)を作り、6箇所くらい補強します。
     (下の図のx印のところ:縦骨の上下端、6箇所くらい)
補強
   I糸目糸を取り付ける
     糸目は2箇所(縦骨と2本の横骨の交点)で、糸目糸は、上下合計約1400ミリの
     長さにします。 糸目の中心は、上横骨から下へ130ミリのところにします。
   J反り糸を取り付ける
        2本の反り糸の長さは、ともに約850ミリ長にして、凧の裏に横骨の両端に緩みの
     ないように縛りつけます。
     これは、凧を揚げるときに、この糸を2〜3回巻き付けて凧面を後ろに反らせる
     ためのものです。揚げないときには巻き戻して反りをなくし凧を平らに戻します。
     K凧揚げの準備
       袖凧の場合、反りの深さを80〜120ミリ(風が強いほど反りを深く)にします。
       上の反りよりも下の反りをやや深くします。尾は不要です。揚げ糸を付けます。
   ■糸目の調整方法:
     凧がよく揚らないときには、調整します。調整は風の強さによっても異なります。
     調整箇所は糸目、反り、尾の3つです。
     − 糸目
         糸目の中心の位置はおおむね、決まっていますが、その日の風の具合で調整
            が必要です。
         ・ 凧が揚がらないときは、糸目の中心を少し上げます(上げ過ぎると凧は
                回転するようになる)。
         ・ 凧がくるくる回るときは、糸目の中心を少し下げます(下げ過ぎると
                凧は揚がらなくなる)。
      − 反り
          前述のように風が強いほど反りを深くします。
      − 尾
          袖凧は、適切に作られていれば尾がなくても糸目と反りの調整だけで安定
            して揚げることもできます。しかし、糸目と反りの調整だけで安定して揚げ
            られなくなった(糸目の中心をそれ以上下げればもう揚らなくなっているの
            に、凧はまだ安定していない)には、尾を付けて回転を止めることも必要に
            なります。
            尾は約50ミリ幅の尾を付けて安定させます。尾の長さは1メートルから
            始めて、それでも安定しなければ、尾を1メートルずつ長くしていきます。
                                                                 以上